Red Dot Best of the Best。iF Gold。IDEA Gold。最高位のデザイン賞をひとつ受賞すれば、乾杯ものだ。3つ揃えば、ブログに書くしかない。
8月20日、iAノートブックに贈られた IDEA Gold を受け取るためパサデナへ向かい、国際プロダクトデザイン賞のグランドスラムを達成した。デザイナーは、一見美しく完成しているものにも欠点を見つける訓練を受けている。自分の作品ならなおさらだ。そんな私たちに、デザイン界で最も厳格な3つの審査団が「褒め言葉を受け入れなさい」と告げた。ついに従うことにした。
ステージ
Red Dot では、早すぎるタイミングでステージへ駆け出した。あまりの勢いに、帰りはゆっくり歩いてくださいと司会者に頼まれた。iF のステージではカメラそっちのけで床の線に集中したあげく、違う線を見ていたことがわかった。
Industrial Designers Society of America(IDSA)は、短いスピーチに30秒をくれた。落ち着いた調子で、つかえながら礼を言い、ほかの受賞者を祝うには十分な時間だ。私たちは原稿に2時間ほど費やした。
「デザインは、ある種の狂気から始まります。もっと良くできるという信念。そして、自分たちなら実現できるという、さらに狂気じみた信念です。失敗し、調整し、また挑みます。挑戦を続けるほど狂った皆さんと、ここに立てることを光栄に思います。ありがとうございます」
これが IDEA のアイデアだった。本番では、スイスドイツ語訛りの「ありがとう」と、みんなへの「楽しんで」というひと言に変わった。そもそも、このイベントは楽しむためのものでもある、と言えなくはない。それでも3度目、いや実際には4度目の受賞でも、最初より落ち着くことはなかった。
アイデア
この製品の発想は単純だった。書くときには罫線が見え、読むときには消えるノートブックがほしい。わずか一文。10年。
1ミリ進んでは、2ミリ戻った。型押しは透かし罫線に変わった。罫線を太くし、また細くした。文具店を開けるほどのペンを使い、300種類の紙を試した。それを10年間続けた。ほかのデザイナーと話してみると、これがごく普通だとわかった。
デザイナーたち
受賞者の顔ぶれは圧巻だった。切開を必要としない手術システム、フレッド・アステアのように踊るロボット、フォークリフトの未来を形づくるデザイナーたちとの会話を楽しんだ。
対象が手術システムでも、フォークリフトでも、照明スイッチでも、ノートブックでも、デザインの工程はよく似ていた。1ミリ進んでは、2ミリ戻る。削るものがなくなるまで、その繰り返しだ。デザイナー自身も、同じ素材でできていた。好奇心と忍耐、そしてほかの誰にも見えないものへの狂気じみた感受性だ。
製品
誕生から2年、iAノートブックは、紙だけでできた製品とは思えないほど多くの金属——メダル——を集めた。どうしてそんなことが可能だったのか知りたいなら、これだけは覚えておいてほしい。iAノートブックがどんなものかは、言葉では伝えられない。自分で体験するしかない。